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「市議会報告」 1998年1月19日第77号 (日本共産党長崎市議会議員団発行)
日本共産党市議団「水質改ざん」で申入れ

 1月16日、日本共産党長崎市議団は、伊藤市長に「水質デ−タ改ざんの真相解明と県に廃棄物処理場建設地の変更を求める申し入れ」をおこないまレた。(申し入れ全文は下記の通りです)

長崎市長
  伊藤一長様
1998年1月16日
日本共産党長崎市議会議員団
 団長 柴田 朴

水質データ改ざんの真相解明と県に廃棄物処理場建設地の変更を求める申し入れ

 昨年末、市民の前に明らかになった三方山流域水質試験成績(平成9年7月3日採水のもの)の数値が改ざんされていた問題は、市民2人による長崎地検への告発がきっかけこなりました。市長をはじめ水道局長、環境部長など関係理事者は告発された後も、Γありえないことだと思う。改ざん隠ぺいねあってはならず、無いと自信を持って言える」と議会やマスコミ等に対しても強弁してきました。そして、12月定例議会最終日の18日、日本共産党をはじめ各党の本事件に対する緊急質問に対しても、市長は、「改ざんはありえないと考えている。しかし、問題が指摘されて2、3日しか経っていないので、もう少し時間をいただき内部調査をさせてほしい。その結果を早い時期に公表したい。」と答えました。 そして、12月24日に全員協議会が開かれ、その席上で市長は、これまでの強弁を180度転換して、改ざんの事実があったことを認め、陳謝しました。

 その内容は、改ざんを命じたのは環境部長であったこと。7月3日の小川地点(第8地点)の調査結果で総水銀値が0.0006rであったので、この数値をそのまま公表すると混乱が起こると考え、環境部長の判断で改ざんを職員に指示したものである。したがって、本人からその責任を取って辞意が表明されているとの発言がありました。

 日本共産党市議団は、これまでの経過をみるとき、これが部長に就任して、わずか6ヶ月しかたっていない環境部長一人の判断で、改ざんできるものでないことはだれが考えてもも常識であり、水道局長はじめ、市三役まで含めた組織的な改ざんの可能性があると判断するものであります。

 さらに、重大なことは、地方自治体として日頃から市民や企業、団体等も含めて、法を守るよう指導する立場にありながら、その当事者が自らの手で市民の飲み水に関係する試験のデータを改ざんしていたという行為は、まさに当事者能力を放棄した重大事態であり、一部長の免職などで済まされる問題ではないと考えます。現在、市役所内でも心ある職員の中から真相を明らかにせよと率直な意見や批判が出はじめ、長崎市役所従業員組合、長崎水道労働組合としても問題の真相究明に立ち上がっていることは、市役所内の自浄作用を高めるものとして極めて大事であると考えます。多くの善良な職員の中で、いま語られていることは、今度のデータ改ざん事件は、一人一人の職員にその責任を帰すべき問題でない。むしろ管理、指導の立場の中でうまれた事件であり、最近の市役所内ではトップダウソ方式で事が進められ、下部の意見が言いにくくなったという状況と無関係でないと考えるものです。

 「行政自らが、自分の手で改ざんを行った」という自殺行為、この重大事態を市長は重く受け止め、これら犯罪的行為を生み出した行政組織の『ゆがみ』に対して根本的なメスをいれることが求められています。わが党は、今回のデータ改さん事件と、現在、長崎県が計画し、進めている琴海町地域内に廃棄物処理場を建設する問題は重大な関連があると考えています。それは、現在、県がすすめている計画が「三方山の民間産廃処理施設が汚染の根源になっている」という重大な疑惑に対して、これを県民の前に解消できるかどうかにその命運が掛かっているからであります。

 長崎市はこれまで22年余にわたって、民間業者に委託して大量の下水道脱水ケーキをはじめ産棄物を三方山に埋め立て処理をしてきた。しかし埋め立ての作業は、この20年来民間業者に任せきりで、行政としての指導はゼロに等しく、20年間の埋め立て記録(どのような種類のものをどれだけの量、どこの場所に埋めた…)すら無い状況です。例えば、下水道の脱水ケーキだけでも長崎市分で昭和49年から61年まで約10万トンが三方山の中腹に穴を掘り、埋め立てられている。その脱水ケーキが大雨のときなど、どんどん下方の神浦川に崩落しているのを地元住民はずっと目撃してきている。これがそのまま神浦ダムに流れ込む。このような表流水の流込みだけでなく埋め立て始めてからすでに19年も経過すると地下水となって神浦ダムに浸水していく。問題になった小川(第8池点)の水質検査結果が改ざんされていた場所もこの脱水ケーキが埋められている三方山中腹の真下に当たるところです。今年1月8日の長崎新聞は、再び市民団体「西彼半島の海山川を守る会」(山下弘文代表世話人)が独自調査の結果を発表し、先の第8小川地点から北東へ400から500bの距離にある別の小川2力所から採水したものを水質検査した結果、総水銀値が環境基準を上回る0.0006mgが検出されたことこと。また、この小川からは鉛も基準を超える0.047mg、ヒ素も同基準を超えた0.012mgが検出されたと報じています。そして、同団体は、記者会見で「近くの産廃処理場に水銀および重金属類が広範囲に投棄されている疑いが濃厚」であると発表しています。これらの独自調査の結果からしても、この民間の産廃処分場及びその周辺一体の土壌が深く汚染されていることは疑いないと考えるものです。

 市当局は、直ちに三方山産廃処分場に立ち入り調査を行うことを要求します。その際、従来のような業者に事前通知をして行政の立ち入り調査をごまかすなどの行為がないよう厳正な調査を求めるものです。以上の立場から次のことを申し入れますので、市長の責任ある回答を要求します。

                    

1、水質データ改ざんの真相を早急に明らかにし、かかる不祥事を繰り返してきた市長の責任を明らかにすること。

2、三方山の産業廃棄物処理場及びその周辺に再度立入り調査を行い、周辺の土壌の汚染調査をはじめ埋め立て記録などを明らかにし、有害物質等に対する対策を直ちに立てること。

3、三方山流域水質試験のための採水地点を抜本的に見直すこと。当面、降雨時の採水や、ダイオキシンおよびクリプトスポリジウムの検査を実施すること。また、検査結果はその都度、公表すること。

4、神浦ダムの本流側の湖底に沈殿している数箇所の土壌の水銀をはじめ重金属の調査を実施すること。

5、県が計画している廃棄物処理場の建設場所については、直ちに場所の変更を知事に対して要求するとともに、神浦ダムの汚染源になっている三方山の産業廃棄物処理場は他に移設すること。

6、行政機構の在り方を見直し、従来のように清掃部門と公害対策部門は分離し、監視体制を拡充、強化すること。

7、現在、市役所内外で水質データ改ざん問題にたいする関心が高まり、率直な批判や提言がだされているが市長はこうした批判や提言を正しく受け止め、今後の教訓とすること。

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