変わる北海道・「社会党王国」支えた 党・労組元幹部
これからは共産党と無党派の連合
「しんぶん赤旗」に次々登場・オール与党政治転換へ共同よびかけ
かつて「社会党王国」といわれた北海道。その北海道の社会党は、社民党から丸ごと民主党に移行し、国会議員数で自民党と肩を並べる全国最大の民主党の”拠点”となっています。しかし、その北海道でかつての「王国」を支えた元社会党・労組幹部があいついで「しんぶん赤旗」(北海道のページ)に登場、注目を集めています。
銭出し、体もはってきたが
元社会党・労組幹部の紙面への登場は、十一月中旬から年末までに十数人にのぼっています。
銀行・証券会社救済のための税金投入問題、医療保険改悪問題、新「ガイドライン」・基地問題、消費税問題など、社民党、民主党を含む・「オール与党」政府への怒りと、政治の転換を求める率直な声、意見が語られています。
「労働者のくらしがよくなるのは社会党だと信じていたから社会党を強くするために銭も出し、体もはった」という千葉千代人・元社会党釧路総支部書記長は社会党の変質を批判しています。
「冲縄の基地問題が戦後50年たっても解決されず、矢臼別などへの演習の拡大でしょ。新たな「ガイドライソ」というものは、アメリカのやる戦争に金だけでなく人も容赦なく動員する。この国の主権はアメリカにあるんじゃないかと思ってしまいます」「ところがどうですか。その社会党はまず社民党へ変わった。自民党にすりより、安保、自衛隊となんでも賛成してしまいました。そうこうしているうちに、議員たちだけで民主党に移った。『おれたちのやってきた運動はなんだったんだ』。私も含め、ともにたたかった多くの仲間が社会党から離れましたよ」
竹貫静一・元全電通札幌支部総務部長は、「一九九四年の村山政権で社会党の首相になって、ようやくいままでいってきた公約が実現できると思ったら、がらっと主張を変えちゃったでしょう。いままで青筋たてて反対していたのがひっくりかえっちゃった」と、失望を語ります。
社会党はタマネギのようだ
「いまの日本の政治や経済をみると、怒りと危機感を抱かざるをえない」という富永巌・元北海道全市職員組合連合会書記長は、「社会党は政権党になってから本来の社会党でなくなった。民主党に変わってからさらにあいまいになりました。・・杜会党は、タマネギのように一枚一枚皮をむいていったら心棒もなかったという感じです」と語っています。
社会党一党支持で運動の先頭にたってきたという細川秀夫・元滝川地区労議長は率直に心情を語ります。
「ふりかえってみると、組合員に大変すまないことをした」「応援した社会党が平気で護憲の旗を投げ捨て、民主党に多く移った。選挙民の意思を無にされたのではたまらんのです」
「衆院選挙や都議選で共産党は票を伸ばしましたね。それは無党派といわれる人たちが、『共産党には裏表がない』『現実を直視した政策を打ち出している』と気づきはじめたからではないか。私もそうですが、無党派層はここ数年、自分の利益ばかり考える政党や政治家にだまされ続けるなかで、ウソをみやぶる力をつけてきた。この層をばかにするとえらいことになります」
政治転換の熱い思いの活路
これらの人びとの政治転換への熱い思いは、日本共産党以外の政党にあきたらない無党派層と、日本共濫党との共同に活路を見付けています。
岡田尚一郎・元社会党札幌市議会議員会長は「自民党と本当に対決できる状況をつくる」ことをよびかけつぎのようにのべています。
「無党派の革新系の人は大同団結して、共産党といっしょに、自民党と数の上でも対決できるようにならないとだめだと思う。共産党は革新系の無党派の人と連絡をとりあってほしい」
佐藤節郎・元北炭清水沢炭砿労組委員長は「今の政治はもう共産党と自民党しかない。『自共』の対決だ」といい、山崎文雄元国労苗穂工場支部委員長も「これからは共産党と無党派の連合だろうね。もうそれしかない」と断言します。
「客観的に共産党をみている一市民」という中村悦・元社会党旭川市議は「共産党は、いまの政治を変えたいと願う個人や政党といっしょに手をつなごうとしている政党だということ。東京の狛江市長選や神戸市長選などをみるとそう感じます。下からじんじん国民の力で押し上げていく活動はこれからもっと大事になると思います」と語っています。
政治をただすパートナー
これらの人びとに共通していることは、かつての社会党をはなれて無党派層となったいま、共産党を政治を変えていくパートナーとしてみているのです。だからこそ率直な提言や要望も数多くだされています。
「持っている理論を生かしながら、われわれをやんわりと包んでいく度量を身につけてもらえれば、もっと伸びてしかるべき政党」(竹貫氏)「スジからいってこうなんだよ、という風に教条的に決めつけられたら、一般の国民はなにもいえない。みんなの意見を聞いて、政治はこうしてみたらと提案してほしい。目民党はアメリカの意見を聞くがご国民の意見を聞かない。そのときに共産党は国民の意見を聞く努力をしてほしいと思う」(片山二一・元全逓帯広郵便局支部書記長)
自民党に吸収されている社会党、社民党、民主党の姿を冷厳にみつめ、無党派へとなりつつも、共産党とともに政治を変えるために立ち上がろうとする大きなエネルギーをもっています。
(1997年12月29日 しんぶん赤旗)