PRIVATE


”やめます”といいながら
「米が新型核兵器開発続ける」
政府文書から分析・米誌・核問題専門家が論文



 米誌『プレティン・オプ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』11・12月号は、米クリントン政権が「新たな咳兵器の開発はおこなわない」と言明しているのと裏腹に、「多くの種類の新型核兵器が米国で開発されつつある」とする、核問題専門家ウィリアム・アーキン氏の論文を掲載しています。

 米軍は、ソ連崩壊後初めての新型核兵器として、今年、地中目標破壊のためのB61−11爆弾を実戦配備していますが、この論文は、ほかにもさまざまな「次世代」兵器の開発が続けられていると指摘しています。
 これらは、核弾頭では次のようなものです。
 ▽潜水鑑搭載弾道ミサイル、トライデント1および2の核弾頭W76(米軍のもつ核弾頭のなかで数がもっとも多い)の改良型への交代。ミサイルの再突人体の改善とともに、攻撃の精度や破壊力の向上がねらいです。
 ▽大陸間弾道弾MXミサイルの核弾頭W87の改良および次世代兵器の開発。W87は、最新型の核弾頭ですが、エネルギー省が製造を急増させる候補の筆頭にあがっているといいます。
 ▽B2戦略爆撃機に搭載するメガトン級の核爆弾B83の改良――など。
 また核兵器運搬手段では、
 ▽トライデント2につづく、新しい固体燃料と水中発射システムによる新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発や、トライデント搭載原潜の後継モデルの研究。
 ▽ステルス戦略爆撃磯B2に搭載するB61を改良した新型滑空核爆弾の開発。これはソ連崩壊後に鳴り物入りで退没した空対地短距離攻撃ミサイルに代わる兵器で、敵国の対空、対ミサイル防衛施設の破壊が目的です。
 これらは、情報公開法で部分的に公表された大統領の極秘文書「核兵器備蓄覚書」、エネルギー省の「核兵器体系維持計画」、国防総省の「核兵器体系維持報告」などにむとづく分析です。
 アーキン氏によると、米政府は、表向き、現に保有している核兵器の「安全性、信頼性」の確保のためといいながら、実際には新型兵器につながる研究を膨大な予算を使って続けています。とくに核兵器備蓄管理計画と、拡散対抗の二つの計画だけで、年間百億ドル以上も使っており、これは国防総省の核戦力予算総額を上回るといいます。
 アーキン氏は「核兵器立案者は、冷戦時代に逆戻りできる機会が万一くるかもしれないと、次世代の核兵器の必要性について語る一方で、核兵器をより使いやすくする新型核弾頭についての『新奇な』発明をしてきた」と指摘。議会が、核拡散をあおるとして小型核兵器の開発を禁止した歴史にも触れながら、危険性を警告しています。
 アーキン氏はこのほか、核・非核を含めた新型兵器の開発計画として、移動式ミサイルの破壊用兵器、地中の大量破壊兵器施設の発見と破壊用兵器(高出力高周波兵器や大陸間弾道非核ミサイル、超音速ミサイルなども)、生物・化学兵器製造施設の破壊・無力化のための核および非核兵器などがあると指摘しています。


(1997年12月29日 しんぶん赤旗)

PRIVATE