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かつて長崎と上海は定期航路で結ばれていた。「旅券なしで下駄履きで行きおった」、そんな時代を懐かしむ老人は「長崎市上海」で郵便が届いたことをしきりに自慢する。しかし戦争がすべてを乱暴に中断させ、海を隔てた二つの町は長い間遠かった。そして今、そのころ少年だった老人は、実はまだ行ったことのない上海と上海航路に恋焦がれ、松ヶ枝埠頭にたたずんで、夕焼けの向こう側にある喧噪の町を見つめていた。