平成9年2月24日開催 | 代表者会議市長コメント |
原爆落下中心碑に係る問題について |
平和公園整備事業は、被爆50周年記念事業の一環として推進してまいりました。 この整備事業のなかで、中心地地区につきましては、「祈りのゾーン」として、被爆 50周年の大きな節目を機に、世界へ向けて被爆の悲惨さを伝え、被爆者の冥福を析る とともに、核兵器廃絶と世界恒久平和を祈念する場として、整備を進めてまいりました。 そのなかで、「折りのゾーン」としてのシンボルとなる中心碑につきましては、この 中心地地区の整備事業にあわせて、現在の中心碑が昭和43年設設置以来、約30年を 経過していることもあり、原爆殉難者名簿奉安箱と一体化した新しい中心碑として、よ りふさわしいものに建て替えるように計画したものであります。 そこで、新しい碑の制作にあたりましては、平和、原爆に対する深い知識と認識を持 たれ、名誉県民でもあり本市出身者である彫刻家の富永直樹氏にその制作をお願いした ところであります。 しかしながら、この計画について、反対する運動が展開されてきましたことは、皆様 既にご承知のとおりでございます。反対される方々も平和への願い、被爆地長崎の使命 に対する認識は私と共通するものであり、必ずやご理解いただけるものと考え、努力し てまいりましたが、関係者の方々との溝は埋まらず、私としては熟慮の上、これ以上の 市政の停滞、混乱を招くことは、適切でないという判断に立ち、現在の中心碑をそのま ま残すことといたしました。 これに伴い、富永氏制作の像は、被爆50周年記念事業碑として中心地地区の緑地の 一画に設置することにいたしました。 従いまして、既に契約している名称を「平和公園(中心地地区)整備事業被爆50周 年記念事業碑制作業務委託」に変更することといたしております。 なお、歴代の中心碑の復元につきましては、今回の中心地地区の整備事業で行わず、 その取扱につきましては、平和教育や歴史の継承という観点をふまえ、今後の検討課題 としたいと考えております。 また、長崎原爆中心碑撤去反対署名の集計作業に電子計算機を利用したことにつきま しては、あくまで署名者の実数を把握するためのものであり、それ以外の利用は全く行 っておりません。 私としましては、今回のことを一つの教訓ととらえ、これまで以上に慎重を期したい と考えております。 以上、私の考え方をお示ししましたが、今後とも皆様のご理解とご協力をよろしくお 願い申しあげます。 |