長崎市の水質データ改ざん問題に絡み、昨年末に同市内部に出された「服務規津の確保について」の助役通達が、職員に「マスコミの取材には慎重に対応するように」などと萎縮効果をもたらしていることが十九日、分かった。
同問題で市は先月二十六日、関係者の処分とともに服務規律など四項目について、全職員に周知徹底を命じる助役通達を出した。通達の中には「職員には『秘密を守る義務』などが課せられている」「職場での問題解決にあたっては、各部局の筆頭課の庶務担当係長と相談し問題解決に当たる」との表現があった。
このため、市職員の中には「市に不利な問題は外に出さず内部で処理する」「マスコミの取材を受けたら、上司と相談して対応する」と受け取っているケースがあり、最近では幹部職員が事実確認の取材を拒否することもあった。
同市人事課によると、通達は地方公務員法に沿って服務の根本基準としての義務をあらためて示したもの。同課は「『秘密』とは公共的利益の侵害になると判断されるもの。今回(改ざん事実の告発など)は該当しない。より正確な情報を伝えるために一般職員も報道取材に応じるなど、開かれた市政でなければならない」としている。
同市役所従業員組台は「通達には『職員が勝手に不利な情報を外に漏らすな』という当局の意図を感じる」と指摘している。
デー夕改ざんや事実隠しが明らかになった長崎市の三方山流域水質調査問題で、同市議会は十九日、臨時議会開催などを協議することを決めた。
同議会では、奥村議長に対し一部の会派が地方自治法に基づく百条(議会の調査権)委員会の設置や臨時会開催などを要請。議長は対応を協議するため二十ニ日、各派代表者会議と議会運営委員会を開くことにした。総務委員会も二十六日、協議会を開き、市側から経過説明、謝罪を求める。