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「長崎新聞」 1998年1月20日
長崎市の水質問題 助役通達で職員萎縮
内部処理や上司相談

 長崎市の水質データ改ざん問題に絡み、昨年末に同市内部に出された「服務規津の確保について」の助役通達が、職員に「マスコミの取材には慎重に対応するように」などと萎縮効果をもたらしていることが十九日、分かった。

 同問題で市は先月二十六日、関係者の処分とともに服務規律など四項目について、全職員に周知徹底を命じる助役通達を出した。通達の中には「職員には『秘密を守る義務』などが課せられている」「職場での問題解決にあたっては、各部局の筆頭課の庶務担当係長と相談し問題解決に当たる」との表現があった。
 このため、市職員の中には「市に不利な問題は外に出さず内部で処理する」「マスコミの取材を受けたら、上司と相談して対応する」と受け取っているケースがあり、最近では幹部職員が事実確認の取材を拒否することもあった。
 同市人事課によると、通達は地方公務員法に沿って服務の根本基準としての義務をあらためて示したもの。同課は「『秘密』とは公共的利益の侵害になると判断されるもの。今回(改ざん事実の告発など)は該当しない。より正確な情報を伝えるために一般職員も報道取材に応じるなど、開かれた市政でなければならない」としている。
 同市役所従業員組台は「通達には『職員が勝手に不利な情報を外に漏らすな』という当局の意図を感じる」と指摘している。

「市は取材拒否」 記者クラブが抗議文
 長崎市の水質データ改ざん問題に絡み、水質調査結果の取材を同市が拒否した問題で、長崎市政記者クラブ(十三社加盟)は十九日、伊藤市長に対し「市の対応は取材拒否であり、市民不在の行政姿勢」と文書で抗議。一連の問題で環境基準を超える全データの公表などを要請した。
 市長に提出した文書は「市の対応は地方公共団体としての使命を欠いている。今回明らかになった新たな総水銀検出(昨年九月の臨時調査)問題では、記者クラブとして事実確認と市長の会見出席を求めたが、不誠実な対応に終始。その結果、十六日から十七日にかけての徹夜交渉という極めて異例かつ遺憾な事態につながった」と厳しく批判。
 その上で@事実確認の拒否A市長会見要請の拒否B今後の対応─など四項目について市長の見解を要請。「市民に対してすべての事実を明らかにすることから問題解決の道が開ける」として、同市が三方山流域で一九八七年から実施した水質調査で、環境基準を超える全データの公表を要求した。いずれも二十一日までの回答を求めている。

臨時市議会開催ヘ 22日に議運で協議

 デー夕改ざんや事実隠しが明らかになった長崎市の三方山流域水質調査問題で、同市議会は十九日、臨時議会開催などを協議することを決めた。
 同議会では、奥村議長に対し一部の会派が地方自治法に基づく百条(議会の調査権)委員会の設置や臨時会開催などを要請。議長は対応を協議するため二十ニ日、各派代表者会議と議会運営委員会を開くことにした。総務委員会も二十六日、協議会を開き、市側から経過説明、謝罪を求める。

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